

『2025年、人は買い物をしなくなる』
株式会社いつもの取締役副社長である望月智之さんの書籍を紹介します。
人が買い物をしなくなる理由

本書では「買い物は面倒くさいものである」と説かれています。
買い物が面倒だと感じる理由について
✔️お店に行かなくてはいけない
✔️出かける準備をしなくてはいけない
✔️店に着いたら売り場を探さなくてはいけない
✔️商品を選ばなくてはいけない
✔️気に入った商品サイズがないかもしれない
✔️レジに並ばなくてはいけない
✔️買った商品を持って帰らなければいけない
買い物をするという目的において、上記のような工程があることによって、楽しいはずの買い物が煩わしく感じたり、ストレスといったものを感じるようになっています。
これからは買い物をする顧客が面倒に感じることを軽減するサービスが必要とされています。
商品を選ぶのが面倒な人たちは、すでに広告を信用せず「AI」を信じ始めています。
これからなくなっていくのは、買い物における「さまざまなプロセス」だと著者は語ります。
デジタルシェルフ時代

これからは本格的なデジタルシェルフ時代が到来すると言われています。
デジタルシェルフとは?
シェルフは「棚」です。コンビニに行くと商品棚がありますよね。
商品棚に商品を並べることによって、消費者が商品を選定して購入するわけですが
デジタルシェルフとは、いわゆるオンライン上の棚です。
身近にあるいろんな場所が商品棚になるということです。
Amazonでのオンラインショッピング、SNSでのインフルエンサーによる宣伝もそうです。
人々のショッピング体験や企業の販売戦略はデジタル化によって大きく進化してきました。
そして、これからは本格的なデジタルシェルフの時代に入ると言われています。
技術的な進歩だけではなく、人間の価値観や思考まで含めたテクノロジーが果たす役割が大きくなっていきます。
デジタルシェルフ時代には、私たちが所有しているPCやスマホといった ITデバイスに商品棚が移動していきます。
今までは欲しいなぁと思う物があれば、必ず店舗に行ってたくさんある商品の中から選んでいました。
それがECサイトのおかげで、インターネット上の商品数が豊富になり、店員さんに聞かなくても口コミや商品レビューなどで品質がチェックができます。
そして、すぐに自宅に届くというインフラも整って、商品を探すのも買うのもネットになりました。
販売する企業にとっても、実店舗に商品が並んでいることよりも、オンライン上の棚に商品が並んでいることが重要になっています。
すなわち、販売する側と購入する側のお互いにとって「デジタルシェルフ化」が進むことで時間などのコストをかけずに、売買が成立するようになっていきます。
これからはどんな店舗が生き残るのか?

顧客が面倒に感じているプロセスを省力してしまうとお店の存在意義はなくなってしまいます。
では、これからはどのような店舗が生き残っていくのでしょうか?
百貨店や大型商業施設などのショッピングモールは既にオワコン化しており、その役目を終えてきています。
これからの小売店は確実に厳しくなっていくのは確実で、生き残っていけるのはわざわざ行く価値のある店舗だけです。
すなわち、これからは「リアルな体験」ができる店舗だけが生き残っていきます。
そのお店に行かないと体験できないことに、人やお金が集まっていくのです。
買い物をしない未来のトレンド

カーサイドピックアップ
既にウォルマートでは車から降りずに買い物するのが当たり前になってきています。
アメリカでは「カーブサイドピックアップ」と呼ばれるサービスが広がっています。
カーブサイドピックアップとはインターネットで注文した商品を店舗で受け取るというものです。
スーパーなどの店舗で買い物をする際には、欲しい商品を見つけるために、大きな店内をひたすら歩き回らなければいけませんが、カーブサイドピックアップではその必要はないです。
買い物したいお客は車で店舗まで行って、ピックアップ専用の駐車場に車を停めて商品を受け取るだけです。
その際に車から降りる必要もなく、店舗スタッフが商品をトランクに積んでくれるのです。
いわゆるドライブスルーみたいな感じで楽チンですね。
そして、カーブサイドピックアップなら前もって注文を済ませてしまえば、買い物にかける時間やレジに並ぶ時間をなどを削減することができます。
Googleの戦略
Googleは更に人びとの行動を効率化していきます。
『消費者の時間を獲得する』世界の数多ある企業はそのテーマに挑み続けていくことになります。
自動運転車などのモビリティ開発でも先を行くGoogleは、人々の運転中の時間をどのように活用するかを考えています。
Googleがユーザーの時間獲得競争に積極的になっているのは、ユーザーの行動データを獲得したいからでもあります。
この活動を今よりさらに効率化させるには、より多くのデータが必要になります。そのためにはユーザーの時間を獲得しなければならないといいます。
車内においても、様々なアプリやデバイスと連動することで、収集できるユーザーの情報量はさらに増えていきます。
自動運転が当たり前になれば、GoogleはAIを活用して、ユーザーの自宅の冷蔵庫の中身を確認して、必要な食材を買えるお店へ案内してくれたり
家族や友人の誕生日にプレゼントを買いに、最適なお店まで誘導してくれたりする素敵な未来が待っています。
ユーザーにとっては考えたり選んだりする時間を削減できることで、他のことに時間を使える便利な未来が待っているのです。
人は買い物しているという感覚がなくなる

人は買い物を無意識にするようになる。買い物をしているという感覚がなくなります。
デジタルシェルフによって、消費者への企業からのアプローチはどう変わるのか?
それを考えるにあたって消費者側の視点では主に次の二つの変化が起こると考えられています。
・データドリブンで自分に必要なものが届く
・他人の意見によって商品を購入するようになる
データドリブンとは?
データを基に様々な判断や実行がなされること
データとはユーザーの購入情報やネット検索履歴、体調データ、音声データも含まれる個人情報のことを言います。
このデータをもとに判断をして、ユーザーが今まさに欲しいものや、ユーザー本人は必要だと気づいていないが、本当はあったほうがいいものをすぐに届けることができるのです。
デジタルシェルフ時代には私たちの生活のあらゆるシーンに買い物が入ってきます。
テレビを見ている時に出演者が着ている服が気に入れば、その場で購入できたり
旅行番組を見ているなら、その場で宿の予約ができる。
外出先のカフェで流れている曲名はわからないけれど、気になる曲をその場でスマートフォンにダウンロードしたり、そこに置いてあるのと同じ商品を注文したりできるようになります。
データドリブンによって、自分が求めているタイミングに合わせて、必要なモノを手に入れることができる時代になるのです。
まとめ:2025年、人は買い物をしなくなる
人は買い物をしなくなるというテーマの書籍ですが、買い物をするという行為に対してかかっていたプロセスが省略されることにより、人々は必要なモノだけを効率的に購入できるようになります。
そして、買い物に奪われていた自分たちの大切な時間が確保できることにより、効率的に豊かに生きていくことができるようになっていきます。
今後はモノを買って自分の所有物とする時代ではなくなり、すべてのありとあらゆるものが「サブスクリプション化」されていくと本書では触れられています。
サブスクリプションは音楽やソフトウェアだけでなく、衣食住すベてのモノに波及していきます。
こういった時代の流れの中で、いよいよ人がモノを所有しなくなる時代が目前まで来ているのです。