
GIVE&TAKEという言葉がある。
「お互いに利益を与え合う」というこの言葉。
果たしてこの考え方は正しいのだろうか?
よく言われているのは、何かを受けとりたいのならば「GIVE」から始めるべきだ。
といった感じで、著名な起業家が語っていたり、有名なビジネス書にも同じような事がたくさん書かれている。
では逆に聞きたいのだが、GIVEした以上にTAKEが返ってきた人はどれだけいるのだろうか?
実際はGIVEばかりしていて「何か私って最終的には損してるよね…」と感じている人が世の中にはたくさんいるのではないだろうか?
そんな風に感じている人達に届けたい一冊を紹介します。
コンテンツ
GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代 byアダムグラント
アメリカの心理学者であり、ペンシルバニア大学の教授でもある、アダムグラントさんの著書「GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代」をご紹介します。
世の中には三種類の人間がいる
ギバー
受け取る以上に与える人。人に惜しみなく与える人。
相手が何を求めているかに常に注意を払っている。
テイカー
常に与えるより多くを受けとる人。
用心深く、自己防衛的なタイプ。上司に対して驚くほど従順、部下に対しては支配的になる。
権利意識が強く、人を操作したり利用したりする傾向のある人びと。
マッチャー
与える事と受けとる事のバランスを考えている人。
公平性、平等を強く重んじている。そして、目には目をという考え方の人びと。
この三種類のタイプですが、人によってはそれぞれのシーンによって変化する事もあります。
ビジネスではテイカーになるけど、友達との関係ではギバーになるという人もいるので、注意が必要です。
誰が最も成功するのか?
それでは一体この「テイカー」「ギバー」「マッチャー」の中で、誰が最も成功するのか?という話になります。
結論から言います。
最も成功できないのは「ギバー」です。これは何とも驚きの結果ですね。
人々に「ただ与える」だけでは成功はできない。何とも夢がなく悲しい世の中ですね。
そして、次に成功できないのは「テイカー」です。
人から単純に奪うだけでは成功はほど遠いという事ですね。これは頷けます。
そして最も成功を治めるのは、与える事と奪う事のバランスを取っている「マッチャー」である!と言いたいところですが…。
実は最も成功するのは「ギバー」なんです。
「マッチャー」では「ギバー」には勝つ事はできません。
え?でも「ギバー」は一番成功できないんじゃないの??
という質問が飛んでくるかと思いますが
実は「ギバー」は2種類のタイプに分ける事ができるのです。
2種類のギバーとは
成功できないギバー
・GIVEし過ぎて奪われるだけのギバー
成功するギバー
・GIVEでお互いの利益にできるギバー
成功できないギバーとは
とにかく与える事ばかりを考えていて、相手の目線に立てていないギバーです。
GIVEを積極的にするが、相手がテイカーだと、ただ単に奪われるだけで終わってしまい、GIVE疲れを起こしてしまいます。
すなわち単純に言えば「人を見る目」がない人という事になります。
そしてこのタイプのギバーは「自己犠牲」の意識が強く、GIVEする事でよりネガティブな状況や感情になってしまっていると言えます。
成功するギバーとは
「誰にどうやってギブするか?」という事を見極めて、お互いにプラスになるGIVEが出来ているのが成功するギバーと言えます。
成功できるギバーが勝利をすると、その成功からギバー自身が利益を得るだけに留まらず、また新たな価値を生み出すのが特徴的です。
その価値は自然とギバーの周りにいる人にも波及していくのです。
それが世の成功しているギバーだと言えます。
奪われるだけのギバーにならない為には

テイカーから逃げろ
奪われない為にはテイカーから逃げる事です。
その為には、周りにいる人の誰がテイカーなのか?という事を鋭く見極める事が必要です。
人間観察力を磨くという事にも繋がっていきます。
例え「自分と相性が良いから」「あの人といると楽しいから」というような、自分にとって好感度の高い人でも、テイカーであった場合には、適度な距離感を保たないと、搾取される事になります。
人間関係を客観的に見つめて、お互いにプラスになるポイントを常に考えるクセが必要です。
とにかく人間ウォッチャーになりましょう。
連絡が途絶えている人と再度繋がろう
日頃の生活の中で、「強い繋がり」だけだと同じような価値観しか得ることができません。
これは家庭であったり、仕事上の人間関係が強い繋がりと言えます。
強い繋がりは、日頃からよく会う人になるので人間関係を安定化させる為に、同調する為に同じような価値観になりがちなのと、入ってくる情報にも新たな発見はありません。
それに比べて、「弱い繋がり」とはあまり普段会わない人であったり、連絡が一定期間途絶えているような繋がりです。
本書の中では「弱い繋がり」についてこのように触れられています。
過去三年にわたり音信不通だった間に、それぞれが新しいアイデアやものの見方にさらされていた為に、休眠状態のつながりのほうが、より多くの新しい情報をもたらす。
GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代より引用
ギバーは弱いつながりが多く、リコネクト(再び繋がること)に損得勘定を持たずにトライすることができます。
弱い繋がりを大切にし、常に自分にとって新しい価値感を与え続ける事で、他者思考を優先できるギバーとして結果を出すことができるのです。
GIVEは週1でまとめてやる
成功できない自己犠牲型のギバーは、そのタイミングに合わせてGIVEをしてしまいます。
相手が求めているタイミングに合わせて、とにかく常に気を配りながらGIVEをしていると、気が散って生産性も下がりますし、疲労感も半端なくなります。
他者思考のギバーになる為には、毎日GIVEする事を考えるのではなく、週1日2時間だけGIVEするなど、まとまった時間を作ってGIVEする事をオススメします。
他者に助けを求めよう
自己犠牲型のギバーは他者に頼る事を嫌がる傾向があります。
「迷惑かけたら悪い」「心配かけたら悪い」などなど、とにかく他者に頼る事を悪だと思い込んでいます。
自己犠牲型のギバーは「支援を受けることに居心地の悪さを感じている」のです。
そういった誰かに相談する、頼るという事が出来ないままに、燃え尽きていってしまうのが成功できないギバーです。
一方、他者思考の成功するギバーは、助けが必要な時に、ためらわずに誰かを頼る事ができるのです。
自分の幸せや気力を維持する為に、周囲のサポートを受ける事が、自分を守るための手法だと理解しているのです。
そして、こういった頼れる支援のネットワークを日頃から築いており、お互いに頼り合う事で、相乗効果を生み出す仕組みを持っているのです。
まとめ

本書の中では、テイカーとギバーについて下記のように説明されています。
テイカーはまるでブラックホールのように周囲の人びとからエネルギーを吸いとっていた。
ギバーは太陽のように組織中にエネルギーを注入していた。ギバーは自分の感慨を押し付けたり、手柄を独り占めしたりすることなく、仲間が活躍できる機会をつくっていた。
GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代より引用
ギバーは周りの人にエネルギーを与える太陽のような存在なのです。
ただし、単純にGIVEするだけでは成功はできませんが、ほんの少し工夫してGIVEをするだけで、人生は大きく変わっていくのです。
ギバーになるコツは「誰かの人生にちょっといいことを起こす」です。
本書は読み終えた時には「ついつい誰かの為に動き出してしまう書籍」です。