
こんにちは。働き方応援ブロガーのノジソウタ(@nojisoufreedom)です。
東京都の有効求人倍率が2.06倍(2019年9月)と、究極の売り手市場を迎えている中、人手不足に悩む企業は様々な人材サービスを活用して、採用活動に取り組んでいます。
今回は、日本のリクルーティングビジネスについて、これまでの歴史、そして未来について書かれた書籍と出会うことができたので、書評を含めて紹介をさせて頂きたいと思います。
書籍「人材業界の未来シナリオ」の内容について

人材業界で働いている方、人材業界で働きたい方にとっては、人材業界の過去・現在・未来について学ぶことができ、より強くイメージできる内容になっています。
また、人材業界の仕事は社会的にも「付加価値の高い仕事」という事をあらためて思い返す事のできる書籍です。
著者の佐藤さんは、人材業界各社の経営陣や責任者には、今の人材業界に対して危機感を持ってもらいたいと言っており
この本を書いた理由として「人材業界の世直し」だと発言しています。
大手企業はとにかくサービスの質よりも、数字を意識し過ぎて、強引に候補者を送りつけるマシンのようになっていると
そして、中小企業は取引先である企業側に忖度して、求職者に対しては品のないやり方になっていたり、知識や経験が無さすぎる担当者が多いといった事を指摘しています。
この世直しという言葉の裏には「人材業界を良くしたい」という気持ちがあり、著者の佐藤さんの高い熱量が伝わってくる書籍となっています。
著者はどんな人?

黒田 真行 (クロダマサユキ)
2014年にルーセントドアーズ設立、ミドル世代を対象とした転職サービス「Career release40」を運営されています。
約30年にわたって、転職サービス・中途採用サービスの企画・開発に関わってきた方で、「リクナビNEXT」の編集長を8年間ほど務めています。
2011年以降は、メディア事業と人材紹介事業の再編に関わり、転職市場のデータベース化とプラットフォーム化を推進してきた方でもあります。
著書に「転職に向いている人、転職してはいけない人」(日本経済新聞出版社)があります。
佐藤 雄佑 (サトウユウスケ)
株式会社ミライフの代表取締役です。
新卒でベルシステム24へ入社し、マーケティング業務に従事され、その後、現在のリクルートキャリアに転職され、営業職、支店長、人事GMなどを歴任。
IT企業の社外取締役なども歴任されています。
2016年に株式会社ミライフを設立。代表として未来志向型キャリアデザインエージェント事業、働き方変革事業などを展開している方です。
著書に「良い人材が集まる、性格のいい会社」(クロスメディア・パブリッシング)があります。
「人材業界の未来シナリオ」を読んだ理由

facebookの人材系コミュニティで、著者である佐藤さんの存在を知り、約2年半くらい前に「良い人材が集まる、性格のいい会社」を出版されるという事で、購入して読ませて頂いたのがきっかけなのですが
これからの採用は、人材を集めて選ぶのではなく、会社側が人材に選ばれる組織へと成長していかなければいけない、というテーマで未来の組織作りにおいて、非常に参考になったのを記憶しています。
また私自身、人材ビジネスに身を置くビジネスパーソンの一人として、そして管理職として人事領域の仕事にも携わっていますが
これから人手不足が加速していく中において、またテクノロジーが台頭していく時代において、人材ビジネスがどのような変化を遂げていくのか
そして、私自身、この人材業界の未来に対して、大きな期待がありながらも、正直な気持ちを言ってしまえば、大きな不安もあったからです。
本書を通して、この不安な気持ちが、大きな希望へと変わった事は後に触れていきたいと思います。
「人材業界の未来シナリオ」から学んだ事

「採用100年史から読む」というキャッチコピーでも分かるように、これまでの人材業界の歴史を分かりやすく解説しています。
人材業界について知識のない方でも、非常に分かりやすい内容になっています。
江戸時代の人材採用から始まり、戦前戦後から現代まで、人材ビジネスがどうやって生まれて、日本が復興・発展していく中でどのような変化を遂げて、今日に至ったのかが分かります。
これから人材業界で働くことを目指す方にとっては、ある意味「人材業界の教科書」のような教育コンテンツになるのではないでしょうか?
また、未来という視点では、これからの採用スキームやテクノロジーにも触れています。
SNSのリクルーティング活用が本格化し、「wantedly」「LinkedIn」といった最新のコンテンツから
「indeed」のようなアグリゲーション型求人検索エンジン、いわゆる求人まとめサイトについてもポイントを絞って解説しています。
そして、リクルーティングビジネスの二極化が進んでくというところが、個人的には「ワクワクポイント」でした。
売り手市場と買い手市場。まさにこれから、本格的に人材ビジネスの戦国時代が訪れる事を予感させてくれます。
まとめ:採用100年史から読む「人材業界の未来シナリオ」
これまでの人材ビジネスは、人材を採用する側の企業主体のサービスでした。それが、これからは求職者主体のサービスへと変化していきます。
これから先の未来で起きる事は、まず更に人材の流動化が進んでいき、転職が当たり前になっていく時代がきます。
そして、転職自体がネガティブなものではなくなり、また転職活動をしている人だけがターゲットではなくなります。
在職中の人材、つまり潜在的な転職者層へのアプローチ方法がキーになっていくと思います。
最後に、日本の人材ビジネス・リクルーティングビジネスは、これまでの考え方や、やり方では「衰退」していくのは間違いないです。
テクノロジーの発展によって、これまで以上に採用コストが抑えられていく中で、社会的にも「より付加価値をつけたサービス」を展開できる人材ビジネス企業だけが生き残っていける時代だと強く感じますし、厳しい環境に変わっていく中で、良質な会社だけが生き残り、人材業界がまた健全化されていくと期待しています。