
こんにちは。働き方応援ブロガーのノジソウタ(@nojisoufreedom)です。
同一労働同一賃金の施行まであと5ヶ月を切りました。
世の中の働く皆さんはこの制度の中身をどこまでご存じでしょうか?
行政の動きも活発化し、連日多くの同一労働同一賃金セミナーが行われている中で、企業側の理解や意識は向上しており、人事担当者や経営者はこの労働制度改革に向けて知識を深めていっている印象はあるものの
多くの働く労働者の皆様については
同一労働同一賃金によって何が変わるのか?
正直、はてなマークの方が多いのではないでしょうか?
今回は同一労働同一賃金の、一番気になる賃金や手当など、収入にかかわる事をシンプルに解説していきたいと思います。
あくまで自分が担当している業務と同一業務をしている比較対象労働者と同一待遇になるという事なので、誤解のないようにお願いします。
比較対象労働者とは
業務の内容及び責任の程度、並びに職務の内容と配置の変更の範囲が
同一と見込まれるものです。
今回は労働者の方にとってのメリット・デメリットの記事になりますが、同一労働同一賃金の主な概要については下記の記事を参考にして下さい。
-
派遣社員の同一労働同一賃金!2020年4月【正規と非正規の格差はなくなるか】
コンテンツ
通勤交通費
これからは交通費の支払いも、正規と非正規の不合理な差がなくなります。
正社員 | 交通費 全額支給 |
契約社員 | 交通費 1万円まで支給 |
こういった例もなくなります。
交通費といえば派遣社員の方は、派遣会社から交通費を払ってもらえないとよく 聞きますが、これからはどんな派遣会社で働いていても交通費が支給されます。
派遣会社の方式が「派遣先均等均衡方式」か「労使協定方式」かによって支払いの内容は変わりますが
派遣先均等均衡の場合は派遣先の比較対象労働者と同じ待遇になりますが
労使協定方式の場合は、派遣会社の協定内容次第ですが、基本的には1時間あたり72円を時給に上乗せして支給、又は実費支給にて支払いがされます。
1時間あたり72円を時給に上乗せして支給される場合だと、単純に時給が上がるので残業手当も高くなります。但しすべてが課税対象となりますのでご注意ください。
実費支給であれば交通費は非課税となります。
派遣スタッフで働いている方は派遣会社の総務や営業担当者に協定内容を確認してみましょう。
賞与と基本給
正社員 | 賞与あり(夏期・冬季) |
契約社員 | 賞与なし |
こういった例もなくなります。
賞与については、そもそも実績に応じての物なので、必ず比較対象労働者と同じ金額にはならないのでご注意ください。
但し、これまでもらえなかった非正規社員も、正社員と同じように支給を受ける事ができます。(所属している会社に賞与制度がない場合はもらえません)
労使協定方式を採用している派遣会社で働いている派遣スタッフさんは、地域指数によって定められた金額以上の支給を受けることができます。
退職金
正社員 | 退職金あり |
契約社員 | 退職金なし |
こういった例もなくなります。
最近は退職金制度自体が、そもそもない会社が多いので、全ての方が対象ではないですが、退職金制度のある会社で働いている方はもらうことが可能になります。
労使協定方式を採用している派遣会社で働いている派遣スタッフさんは、労使協定に定められた通りになりますが
派遣社員の場合、臨時的雇用という観点からも、長きに渡り就業するケースが少ないので、その辺も考慮して時給に上乗せして前払いでもらえるケースもあるので、派遣会社に問い合わせてみると良いかと思います。
労働者としてのメリット


年功序列の賃金体系がなくなる
同一労働同一賃金により、長く勤めていれば賃金があがる年功序列はなくなります。
大した仕事をしていないのに、大したスキルでもないのに、長年その会社で働いているからという理由だけで、威張り散らす人がいなくなりますね(笑)
これからは、責任の範囲や仕事内容で自分の賃金が決まります。
そして自身がキャリアアップしていく事で、明確に昇給などの還元を受ける事ができるようになります。まさに実力主義の時代です。
非正規社員の賃金が上がる可能性が高い
同一労働同一賃金は正規と非正規の不合理な差をなくす制度です。
契約社員やパート、派遣社員の方々は、これまでは正社員だけが受けていた恩恵を、これからは差別なく受ける事ができます。
非正規社員のキャリアアップの機会が広がる
社内の研修制度などは、正社員だけが受けられる物も多くあったと思いますが、これからは雇用形態に関係なく受ける事が可能になります。
担当業務の内容が明確化される
仕事内容の範囲について、これまでは明確でない部分が多く、言ってしまえば何でも屋的な方がたくさんいて、責任の範囲や業務の範囲もバラバラでした。
派遣社員なのに、正社員以上の仕事をこなして、責任も同じくらいあるのに、賃金が正社員より低い、これがすなわち不合理だという事です。
こういった事をなくす為に、同一労働同一賃金によって、業務の責任や範囲が明確化されていきます。
労働者としてのデメリット


正社員の賃金が下がる可能性がある
非正規の賃金が上がるという事は、単純に企業側はコストアップとなります。
どこで調整していくかというと、これまで手厚くしていた部分を削っていくしかありません。その具体的な点については下記にて触れていきます。
手当などの福利厚生がなくなっていく
今後、手当や福利厚生などがスリム化されていきます。
家族手当や住宅手当など、これまで非正規社員には払われてこなかった物を、全ての非正規社員の方々へ支給する事は極めて難しいので、これまでの手当を見直す会社が増えていきます。
非正規社員の雇い止めが増える可能性もある
非正規雇用が増えていた理由を考えれば、この答えは明白ですが、非正規社員を活用していたのは、企業の人件費を抑える為と、企業にとって都合の良い有期契約であるからです。
最近は5年越え契約での「無期契約化」の流れもあり、契約社員やパートと言えども正社員と同じように、雇用の責任が重くなりました。
それに加えて、賃金アップとなれば非正規社員を活用する理由を考え直す企業も出てくる事は必然であります。
また、派遣社員については、人手不足が追い討ちをかけて、ここのところ只でさえ、派遣単価の価格帯が上がってきていますので、同一労働同一賃金で現状の派遣単価から10%~15%アップというような事になれば、派遣社員を活用する企業も減少していく可能性があります。
長く同じ会社で働いても賃金は上がらない
これからは同じ会社で同じ仕事を、ずっと継続しているだけでは賃金は上がらない時代になります。年功序列は消滅します。
今後、賃金を上げる選択肢としては
・責任職を引き受ける
・稼げる職種へキャリアアップする
・別の会社へ転職する
・独立起業する、フリーランスとして働く
・タブルワーク、トリプルワークをする
・副業する
上記のような選択肢を選ぶ方が確実に増えていきます。
まさに雇用の流動化が更に激しくなり、様々な選択肢を選びやすい時代となります。
まとめ【同一労働同一賃金の労働者メリット・デメリット】


日本の労働市場では、これまではあり得なかった事が、2020年4月からいよいよ始まろうとしています。
あと残り5ヶ月もありません。
このような革命が起きる機会をどう受け止めればいいのか…。
労働者側の皆さんは「自分のワークスタイルを変えるチャンス」と捉えるのか
「同一労働同一賃金の波に飲まれて、待遇が下がり絶望してしまう」のか
今まさに、それぞれの生き方や働き方への考え方と行動が問われていると思います。